マンデイモーニング 第4話

  この状況を全く理解できていない僕を前に、その見知らぬ女性は「おはよう、ご飯できたよ」と優しく微笑みかけてきた。その言葉にますます、状況が理解できない。この数秒の間に、脳をフル回転させこの女性の顔を思い出そうと試みたが、やはり、面識がないのは間違いない。だとしたら、この女性がサイコパスかと聞かれると、それとは真逆の存在にすら感じる程心地のいい笑顔だ。
  まるで別世界に迷い込んだかのようなこの状況から抜け出すべく一つの質問を僕は投げかけた。「あなたは、誰ですか?」と、すると、女性は一瞬少し哀しげな表情を浮かべ、「ついてきて」と僕の手を引いた。その手は不思議な程暖かく、その手の感触はどこか懐かしさを感じる。
  女性に言われるがまま、僕は階段を降りた。一階につくと、テーブルには美味しそうな朝ご飯が並んでいる。しかも、どれも僕の好物ばかりだ。女性は「ちょっと待ってて」と言うと、一枚の写真を持ってきた。その写真を見た僕は目を疑った。その写真には、ウエディングドレスをきた女性とタキシード姿の男性が写っている。その二人とは紛れもなく僕と目の前にいる見知らぬ女性だ。そして、混乱をかくせないでいる僕を横目に女性は静かに語り始めた。

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